特殊な組み合わせ4・射手座と魚座

旧占星術におけるルーラーが共通項である同士の射手座と魚座。

一般的にはスクエアと「相性が悪い」とされる配置ですが
木星ルーラーが共通していた縁なのか、何かと見かける組み合わせ。

今回は射手座と魚座について考察していきます。

射手座と魚座の共通項

射手座と魚座

この二つのサインは、かつてルーラーが同じ木星同士でした。
どちらも自由主義でおおらか。

しかし火と水と互いの長所を消し去ってしまうような
スクエアのアスペクトなのでミッションが違って
分かり合えないところの方が大きいでしょうか。

射手座は議論が好きで、とにかく精神性が高く暑苦しい信念を展開します。

魚座は自分を投げ打つ奉仕性があり、
現実と理想の境界線を曖昧にするので掴みどころがない。

志が高く上昇志向が強い射手座に目的意識が希薄な魚座の理解は難しく、
また現実世界の理に囚われない魚座にしてみても
なぜ「現実世界の高み」を理解するのか?それが理解できない。

どちらも「精神性」がキーワードになるが
「物理的に遠い」か、「夢のようにヴェールに包まれている」かの互い。

精神性の高尚なところがあり、噛み合っているようで噛み合っていない、というのが主な感じでないか。

魚座は海王星がルーラーなので、より高度な精神性、
限りない夢や芸術性というのが関わってくるのです。金星の上位天体と言われています。

海王星が見つかった時代は日本だとペリーが浦賀に来た時代でした。
大航海時代であったり、国境という境界線が溶かされていた時代。

この時代近くでゴールドラッシュがやってきたこともあって
「夢」というものが身近に感じられ、にわかに強調されゆく時代背景でもありました。

海王星の発見(1846年)以降、魚座はより「夢・霊性・境界のない世界」の象徴として
再定義されてきた、というわけですね。

相容れないが、どちらも水星が弱いサインであることから
言語化の難しさというのは共通項として挙げられるところ。

例えばなんらかの共通の話題を持っているとか
精神性の目指す方向性が一緒なら、そこまで苦にならないのではないかと思える。
言語化が弱いからこそ、それを補強せんがために繋がりがあるとも言える??
どちらもデトリメントの位置におり、論理的・整然とした伝達には向かないサイン。

射手座は理屈で語るが冗長で、つかみどころがない。
魚座は感覚で伝えるが曖昧で、形になりにくい。

どちらも伝達に危うい部分は似てはいるようでいて
互いに「通じているようで通じていない」関係性になることも多く、
精神的共感がなければ誤解が生まれやすいのではないでしょうか。

海王星=幻想・霊性・映画・音楽・集団的夢
木星=信念・拡大・楽観・宗教的世界観

この比較で言うと、木星が現実的で、海王星が境界線を破った感じに映ると思います。

思えば魚座が海王星ルーラーになった以降で、
現実的な高みを目指す射手座とは宗教、スピリチュアリティ、芸術分野、
これらのすれ違いや融合があったのかも。

理想を社会制度に落とし込もうとする射手座と、
感情の世界で癒やしや救済を求める魚座との軋轢のように。

射手座について

射手座

サイン番号:9(天と地の統合、終わり)
エレメント:火
区分:柔軟宮
タロット:10運命の輪、14節制
ルーラー(最も相性が良い):木星
エクザルテーション(相性が良い):ドラゴンテイル
フォール(相性が悪い):ドラゴンヘッド
デトリメント(最も相性が悪い):水星

射手座における木星というのは理念、哲学、道徳、冒険を通して「上昇」する木星。
火のサインであることから外向けにベクトルが行きやすい。

意識の高さを生み出し、精神性の高さが哲学を学び、
そして「理解する」ことによって論理的になり、高い次元へと誘います。

学び、足を運ぶことで木星と同一視される絶対神ゼウスのように
「現世の高み」を目指そうとします。

またあらゆることを笑って許すような寛大さをもたらします。
射手座は信念を掲げて活動し、目標志向が強いので目標が高くなりやすいです。

「現実世界での理想」を達成するべく力を入れます。
「目標の達成=人生の意味」と紐づけることになるでしょう。

魚座について

魚座

サイン番号:12(私的な聖域)
エレメント:水
区分:柔軟宮
タロット:12吊られた男、18月
ルーラー(最も相性が良い):海王星、木星
エクザルテーション(相性が良い):金星
フォール(相性が悪い):水星
デトリメント(最も相性が悪い):水星

魚座における木星というのは慈愛、霊性、夢、芸術を通して「融合・浄化」を目指していきます。

「私は信じる」というキーワードが記すように
あらゆるものを「信じて」受け入れて統合しようとする、
そこにどんな境目もなくなる。

射手座が境界線があった前提でおおらかになるのとは違い、
魚座は人種や国境、言語、はたまたは生きているかどうかの境界線が一切ないのです。

時折境界意識というのが希薄だったりするわけですね。
現世のものでないものに支配され、現世で生きづらくなっている傾向もみせるでしょう。

射手座が外向的だったのに対し、魚座は内向的、直感的。
現実に敷かれたあらゆる境界線から離れた理想世界に生きています。

「すべてがひとつになること=人生の意味」と紐づけることになるでしょう。

射手座と魚座の相互の学び

「天空をも貫く弓矢」と「全てを包み込む水」。
方向性は違うのだけども、「現状を越え、自己を超えた何かに到達する」
という端的な観点は共通していると言えます。

しかしアプローチの仕方と到達点が違い
ともすれば打ち消しあう火と水の組み合わせ、精神性の方向性が違うので
どこかしらズレが起きうる相性。

到達点が同じでないとズレたまま関わることにもなりかねない。

射手座からすると魚座の目的意識の曖昧さが気になり「結局あなたは何がしたいの?」と問い
魚座からすると射手座の現実の延長線上の目的が理解できず
「そんなに焦らなくても、今ここに答えはある」と諭す。

「高み」を目指す射手座と「境界線を超えた統合」を目指す魚座では
ミッションがズレてはいるが、
すれ違いつつも同じ精神性の高さというものがあり、

方法が違いながら、魂レベルでの望みは似ているものがある、
というところでは、心を揺さぶるところはあるのかもしれない。

90度の関係性であることから通常は「衝突」の関係性であるものの、
どちらも「越境者」という性質があり、
ロマンと苦労が混じり合った関係性と言えるでしょう。

同じ木星ルーラーということであったことから
異なる理想と信念のぶつかり合い、精神性の多様な可能性を感じさせるペア。

射手座であれば、魚座から自分の魅せ方や精神性の引き出しが広がる可能性を学んでいく。

魚座であれば射手座から、なんでも溶け込むのでなく、
どういったゴールがあってなぜ必要なのか、という精神性と
そのために必要な叡智を学ぶ、というところでしょうか。

太陽と月でこれらの組み合わせがあったら?

どちらも精神性が強調され、建前と本音で「違う夢」を見ていそう。

太陽射手座:月魚座の有名人
高岡早紀さん、さまぁ〜ず大竹さんなど
→理想を語りながらも現実に疲れ、感傷に沈むタイプ。想像力豊かで、アーティスティック。

太陽魚座:月射手座の有名人
加藤茶さん、中山美穂さん
→夢を目指して陽気に突っ走るが、現実の輪郭が曖昧で混乱しやすいタイプ。

なんか色んな意味で「遠く」「夢」を見てそうな人たち。
両者とも「遠くを見る」「今を超えたものに生きる」姿勢が共通しており、
現実からの距離感が独特です。


その結果、芸術・創作・表現において光るものを発揮しやすいですが
現実世界での安定や明確な目標設定は苦手な傾向も。

時にそれが現実から逃避しているように感じられることもあったり、
もっと上へ上へという上昇志向が強すぎて足元が見えていなかったり。

ベクトルは異なるものの精神性の偏りが大きいという意味では似通った部分はあります。

総括

木星

個人的には射手座と魚座の人が友人関係だったり、
結構この組み合わせの人は見かける気がするんですね。

お互いの見えてるものが見えないながらも、必要な戦力なのかもしれない。

単純に見れば「相性が悪い」組み合わせだが、それだけで片付けられない気がするのは
ルーラーが同じ木星同士だったから、精神性という共通するところがあるから、
と言えばそうかもしれません。

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