旧占星術では太陽と月以外の惑星で、
ルーラーがかぶっていたサインがいくつかありました。
山羊座と水瓶座もその中の一つです。
ルーラーが被っていたサイン同士の相性というのはどうか?
という面での考察です。
もくじ
山羊座と水瓶座の共通項

かつてルーラーが同じ土星同士。
所属する社会で枠組みを整備して運用していく山羊座と、
社会から離れて社会の矛盾を突いて変革を促す水瓶座。
隣同士なのでわからなくはないが特別仲が良いわけでも悪いわけでもない、
というのが一般的な関係性。
管理社会に反発する水瓶座を考えると、
強いて言えば分かり合えない色合いの方が強いようにも思えますが。
水瓶座のルーラー天王星は現状の打破を試みる宇宙普遍的な高度な知性を付与します。
時にそれが天文学や形而上学と結び付けも示唆され
そのことが土星原理だと突飛に映ることもあります。
フランス革命の時代に見つかった惑星であるためか、しばしば革命原理と結び付けられる、水星の上位天体。
「社会を皆の力で変える」のが水瓶座なので、
水瓶座もなんだかんだ「社会」と関わるサインであると伺わせます。
そういう意味では社会を変える組み合わせとして引き合いもありそう。
この組み合わせはたまに見かけることがあり、
ルールを構築する山羊座と、そのチェッカーを水瓶座が務める形で社会で活躍できそう。
現実的には隣同士のサインだからあまり関わりを見たことがない気も。
学校のクラスとかで隣の席になった人と仲が良い人をあまり見かけないように
隣同士って実はそこまで仲良しこよしでないイメージを、個人的には持っています。
アストロロジーにおいても30度の関係性はそんな感じと思ってます。
山羊座と水瓶座の関係は、かつて同じルーラー(土星)を持っていたという歴史的共通点と
モダンルーラー(天王星)の登場によって切り離された異質性の両方を内包する、
非常に複雑で含蓄のあるペアとも言えるでしょう。
どちらも12星座の後半部分なので「社会」に出る部分で
「個人ではなく集団単位・社会単位」での意識が強く、
個人の自由よりも社会の正しさ・構造を優先する思想を持つため、
根本的な精神性には共通項がある2サイン。
土星は社会そのもの、時間、構造的、責任、現実性を示すので
まさしく社会的な視座を持って規範を扱うという意味で類縁的。
どちらも「構造」を作るが、山羊座は時間と労力を積んで作り、水瓶座は理念と理論から設計します。
根本の素材が同じでも、建築と設計で仕事が分かれているような感じで
規範の設計思想が異なるというとこはあります。
山羊座について

サイン番号:10(達成と始まり)
エレメント:地
区分:活動宮
タロット:15悪魔、21世界
ルーラー(最も相性が良い):土星
エクザルテーション(相性が良い):火星
フォール(相性が悪い):木星、海王星
デトリメント(最も相性が悪い):月
ヒエラルキー内での秩序・役割・実績を重視。社会の骨格を支える「構築者」。
社会構造の構築・管理・維持というのを行います。
山羊座の土星は制限・忍耐・成果を通じて安定をもたらす。
時間を積み重ねることで信頼も積み重ねる。
実績による構築、そのことで信頼を得ます。
現実的なルールを敷くことで、安定化を確保しようとします。
従わせるための実務的・上下的規律(目的:成果と安定)というところで
ヒエラルキーの構築、運用、保守のために土星のエネルギーを使います。
水瓶座について

サイン番号:11(直感力)
エレメント:風
区分:不動宮
タロット:17星、0愚者
ルーラー(最も相性が良い):土星、天王星
エクザルテーション(相性が良い):冥王星、(水星)
フォール(相性が悪い):(海王星)
デトリメント(最も相性が悪い):太陽
水瓶座は既存の構造を見渡し、非合理や不正を改革しようとする「未来的な調整者」。
山羊座の構築した社会の領域から離れ、社会の矛盾を指摘して
人間社会に対して改革を促します。
社会から離れた領分で友好の輪を集める能力に優れ、
人間関係をつなぐその有り様が「土星の輪」を連想させます。
そうした水瓶座の性質から、社会構造の検証・破壊・再設計(進化的土星 or 天王星)
と言った意味合いが出てきます。
水瓶座の土星(または天王星)は、変革・自由・刷新を通じて、
誰もが自由になるための平等的・理想的規範(目的:改革と普遍)、
そして社会に変化をもたらします。
時間を俯瞰し未来に飛ぶ未来志向の強さがあり、
概念による構造化、思想的なルールと言った具合に土星を活用します。
ルール魔と言えば山羊座が有名だが、水瓶座も大概にルール魔なところがあります。
自由主義であるのに束縛やルール、というのに矛盾を感じるかもしれませんが
合理的にやる、ということにはある種の厳しさがあるのです。
例としてかつてのフランス革命で民主的な社会を構築した代償に
支配層、民衆双方に血が流れたが、
そのことで新たなルールを敷いて構造の中に恭順させた、と言えるでしょう。
「フランス革命で血が流れたが、そのことで新たなルールを敷いた」
というところに土星原理が働いていると言えないでしょうか。
・革命=天王星的水瓶座
・その後の構築(ナポレオン法典など)=水瓶座に残る古典的土星の名残のようなもの
革命は、人の感情、都合というものを考えて行われるものでありません。
革命は感情で起こるのではなく、「合理的に非合理を覆す」という
理念に基づく冷静な怒り=水瓶座土星の本質であり、
その後に構造を再設計するという意味でも、“天王星×土星”のような
自由意志もありつつ、厳格さもあるという二重統治をよく表しています。
山羊座と水瓶座の相互の学び

このペアに関して言えば、エッセンシャルディグニティ的観点で言っても
意外に共通して長短所がない組み合わせ。
30度のアスペクトはエレメントもモードも異なるため、価値観が合わないのに無視できない距離感。
行動様式も動機も根本的に違うので
「わかるようでわからない」「なんとなく意識するが噛み合わない」
ので、理解には努力が必要、という感じ。
他の組み合わせと異なり相性が悪い天体が異なるので
「なぜその要素が弱いのか分からない」と、分かり合えない部分の方があるかもしれない。
学生時代に遠くの席の同級生とやりとりする時に紙をちぎって投げたのを覚えてないだろうか?
授業中にスマホでLINEでやりとりする前は原始的に紙ベースでやりとりしていました。
その時も「隣の席ほど話しかけない」感じで、遠くの席とか、ちょっと離れた席の友達に話す、
という感じだったのでは。それと似たようなもの。
エッセンシャルディグニティにおける明確な優劣がなく、
共通する硬質な気質を持つがゆえに「接点が見出しにくい」ペア。
「ある種の堅物さ」はどちらのサインも共通して言えるところ。
両者は同じ道具(土星)を用いて「異なる問題意識」を解決しようとしているのです。
同じ土星意識が働いているこの2サインですが
山羊座は「守らせる」ためにルールを作り、水瓶座は「変えさせる」「社会における理想」のためにルールを作る。
そのため、どちらも頑固ではあるが、「何に忠実か」が違うために
思想の衝突は生まれやすいと言えます。
山羊座と水瓶座は、表面上は
・冷静で必要以上に他人に深入りしない
・社会性が高く、責任感が強い
・感情で動かず、合理性重視
といった部分が似ていますが
「保守的か改革的か」「現実か理想か」「社会に忠実か革新を求めるか」
という違いがあるので、表面上は似ているものの、
ズレがあるところで違和感が起きやすいペアであるとも言えます。
この2つのサインが互いにどう学ぶか。
山羊座の一見完璧に思えるルールは、俯瞰的に見える水瓶座がチェックすることで
その矛盾を解消しうる可能性もあり、より俯瞰した知恵が山羊座の学びになる。
水瓶座としても必要以上に社会性から逸脱してしまわないように、
そして新たな変革と言っても「最低限のルールを守らせる」という具合で
山羊座がブロッカーとして稼働していることで
人間社会での生活など体裁を保てる部分があるかと思います。
水瓶座の力というのはより良い未来のために再構築を促せるし、
山羊座の力で新たな提案を長い時間をかけて検証する、という具合に
組織や社会の持続的変化を導いたり、次世代への継承をスムーズにできるでしょう。
単純に現実と理想、体制派と反体制派、という関係にとどまらないということです。
「構造の維持と進化」
「責任の担保と権利の分配」
などのような社会的テーマにおける補完性があると言えます。
決して仲良しというわけではないでしょうが、
「隣同士だからこそ埋められる差分がある」関係性にもなり得ると言えます。
太陽と月でこれらの組み合わせがあったら?
自分が属する社会に何らかのコミットメントをもたらす感じ。
伝統を守りながら変えていく。
この太陽と月の組み合わせの人は何人か知っていますね。
自分の中にルールがあって、それを壊して作り変えるのに苦労されていた方が多い印象。
有名な人で言うと
太陽山羊座:月水瓶座
堂本光一さん、イモトアヤコさんなど
→伝統を壊す側にシフトし、改革精神を帯びた堅実派。
太陽水瓶座:月山羊座
高田純二さん、デヴィ夫人など
→理想を形にしようとする現実主義的理想家。
生真面目さと奇抜さを併せ持つ人が多い印象。
どちらも「社会」にまつわるサインなので、しっかりと現実社会に関わっている。
社会にコミットをする能力がありながら、その実現方法において個性が分かれる感じ。
社会性と個人的スタイルが何とも言えない塩梅で交わっている印象。
総括

山羊座、水瓶座と共に「社会」に根差し、いずれも社会に関わり、
構築したり変革したり、というミッションがあります。
ミッションにおける根幹的な思想が違えど、
社会を動かしたり統括する、という意味では
土星におけるエネルギーを動かしていると言えます。
どちらのサインも社会における規律の構築や改革に妥協がありません。
氷と金属のような関係性といえばそうでしょうか?